DENAZIFICATION – 法的根拠 – 国連憲章第17章 /ナチズム、ナチス その2

ご質問ありがとうございます!国連憲章の第106条と第107条について、以下に簡潔に説明します。これらの条項は、第二次世界大戦後の「敵国」に関する規定で、歴史的文脈を持つものです。
国連憲章第106条
内容: 安全保障理事会の常任理事国(当時は米国、ソビエト連邦、英国、フランス、中国)の暫定的な協力に関する規定。
条文(日本語訳、概要):
安全保障理事会が第5章(安全保障理事会の機能と権限)に基づく完全な機能を果たすための準備が整うまでの間、1945年3月1日時点で連合国の主要国(米国、ソビエト連邦、英国、フランス、中国)は、平和維持のための必要な措置について協議し、協力する。
ポイント:

この条項は、国連の初期段階での暫定的な取り決めを定めたもの。安全保障理事会が正式に機能するまでの過渡期に、主要連合国が責任を持って国際平和を維持することを目的としています。
「敵国」には直接言及していませんが、第107条と関連し、戦後秩序の構築(特に枢軸国への対応)に間接的に関わります。
現代では、安全保障理事会が機能しているため、この条項は実質的に適用されていません。

国連憲章第107条
内容: 第二次世界大戦の「敵国」に対する措置の例外規定。
条文(日本語訳、概要):
この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中に国連の敵国であった国に対する、戦争の結果としてその政府または当局が取る行動、あるいはその責任ある政府が講じる措置を無効にしたり、妨げたりするものではない。
ポイント:

この条項は、第二次世界大戦の枢軸国(ドイツ、日本、イタリアなど、いわゆる「敵国」)に対する戦後処理(占領、領土変更、賠償、裁判など)を国連憲章の制約から免除するものです。
例えば、連合国によるニュルンベルク裁判や東京裁判、領土再編などは、この条項に基づいて国連憲章の干渉を受けずに実施されました。
「敵国条項」の一つとして知られ、戦後秩序の特殊な状況を反映しています。
現代では、冷戦終結やドイツ・日本の国連加盟(それぞれ1973年、1956年)により、この条項は実質的に形骸化しています。敵国条項の削除を求める議論(特に日本やドイツから)も過去にありましたが、憲章改正のハードルが高く、正式な削除には至っていません。

補足:第106条と第107条の関連性

歴史的背景: 両条項は、第二次世界大戦直後の不安定な国際秩序を管理するために設けられました。第106条は連合国の暫定的な協力を確保し、第107条は敵国への措置を国連の枠組みから切り離す役割を果たしました。
ナチスとの関連: ご質問の背景にある「ナチスの排除」については、第107条がナチスドイツへの戦後処理(ニュルンベルク裁判など)を可能にした間接的な根拠となりますが、ナチズムそのものを排除する直接的な規定ではありません。
現代の意義: 両条項は現在ほとんど適用されておらず、歴史的遺物とみなされています。ただし、敵国条項(特に第107条)は、憲章改正の議論で時折取り上げられることがあります。

結論

第106条: 安全保障理事会の機能が整うまでの暫定的な連合国間の協力規定。現代では実質的に無効。
第107条: 敵国(枢軸国)への戦後処理を国連憲章の制約から除外する条項。ナチスドイツや日本への措置を可能にしたが、現在は形骸化。

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