位相共役波の性質

立命館  光情報通信(左貝)研究室

https://www.ritsumei.ac.jp/se/re/sakailab/iso.html

位相共役波とは、光非線形媒質である光カー媒質やフォトリフラクティブ媒質に、 対向する2つの光ビーム(ポンプ光)を照射した状態で、側面からさらにひとつの光ビーム(プローブ光)を入射すると、 新たに別の光がプローブ光とは正反対の向きで出射される。 この光が位相共役波であり、位相補正作用、時間反転性など、いくつか特異な性質を示す。 位相共役波の発生は、このような縮退4光波混合の他、ブリルアン散乱を用いても可能である。
詳しくは右の書籍の2章を参照のこと「位相共役光学」(朝倉書店)

位相共役波を発生させる光学系のうち、プローブ光と位相共役光だけに着目したものを位相共役鏡という。 球面波が従来の鏡に角度を持って入射し、かつ伝搬途中で位相物体を通り波面が歪んだ場合、出射波は反射鏡を折り返す様に出射され、波面の形は歪んだままである(Fig. 1)。 しかし位相共役鏡を用いた場合、出射波は入射波を戻る向きに出射され、再び位相物体を通れば、波面の歪みが打ち消し合い、元のきれいな球面波が得られる。 この性質が位相補正作用と呼ばれるものである。 位相共役鏡への入・出射前後で波面の形が不変で、波の伝搬方向だけが逆になるので、位相共役波は時間反転性をもつとも言われる。

これらの性質を用いて、従来の干渉計における、一方の光を位相共役波に置き換えることによって、位相変化が倍増できて感度が向上し、 より鮮明な干渉縞を得ることができる。


位相共役光学: 目次   (朝倉書店)
1章 位相共役光学の歴史
2章 位相共役光の基本概念と性質
3章 位相共役光発生と基礎理論
4章 4光波混合理論の特論
5章 4光波混合以外の位相共役光発生理論
6章 位相共役光発生実験
7章 位相共役光発生媒質
8章 位相共役光の応用

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